ぼーちゃんの英国医学留学な日々

2019年4月~Royal Brompton Hospitalに臨床留学中の循環器内科医のブログです

仕事本格始動!…なのか?とりあえずカテ室レポート!

イースター休みが終わり、今週火曜日からフル出勤が始まりました。とは言え、初日に先輩fellowのPabloに言われたとおり、ノルマは13時頃にいつも終わる様相。。。ほんと驚くわ~。もちろん病棟持ってないからだと思いますし、まだresearchも始まらないので今だけだと思いますが(;^_^A

今のところまだピヨピヨしている感じで、特に英語がまだ覚束ないので、普段は同時期に研修を始めたばかりのブラジル人小児科医のLeticia、スペイン人循環器科医のVictoriaにくっついて歩いている感じです。二人とも英語ペラペラで羨ましい。。。ほんとに日本の英語教育って???と毎日自問自答する日々です(涙)

 

火曜日は9時15分に病棟集合と言われていたので行ったら、Pabloともう一人clinical fellowのお姉さんと二人で病棟回診+カルテ書きをしていて、午前中いっぱいそれについて回りました。こちらに来て驚くのが、けっこう皆しっかり毎日身体所見を取っていることです。ただやはり記入しているのは紙カルテ。。。うーん横から見ているけど筆記体で書かれると読めない!現在病棟にはACHD患者さんは10人前後しかいませんが、Mustard手術後とかccTGAとかいろいろ取り揃っていました。この日はまだ患者さんリストはもらえず、今ひとつ何の患者さんなんだか把握しきれず。。。

皆の会話にいていくのがやっとなのに、突然Pabloが「Ross procedureについてどんな手術かと何が有利なのかを説明してみて」とか無茶な先輩風を吹かせてきたりします(;^_^A 日本語でも成人循環器医には難易度高いぞ!しどろもどろで「replace aortic valve to his own pulmonary valve...」などと答えるのが精いっぱいでした。。。ちょっと笑われました。くそー。

そしてすごかったのが、その後の12時半~始まったMorphologyの講義!直前にLeticiaに「この後Morphology meetingがあるけど一緒に行く?場所知ってる?」と言われ、なんだっけMorphologyって。。。形態学?そのmeetingって何?とよくわからないままついていくと。。。

突然、ものすごい数の心臓の標本に囲まれた部屋が!6畳くらいの狭い部屋なのですが(ここに来て畳で部屋の広さを表現するなんて日本人って。。。でも他に表現法を知らない/笑)、窓側とスクリーンを除いた壁の二面がすべて心臓のホルマリン漬け200~300近くで埋められているのです。何を隠そうここが有名なRoyal Bromptonが誇る心臓形態学の教室!自治不整脈班のW先生が講義を聞いたことがあると大興奮していた、高名なYen Ho先生のcollection部屋でした!!が、残念ながら写真撮影禁止。。。orz あの圧巻の光景をお見せできないのが悔しい!

様々な標本はそれぞれ疾患別に分かれていて、半分近くが先天心の心臓でした。新生児のものかなという小さなものから、顔くらいの大きさまで肥大したものなどなど。。。対応した解説ファイルがあり、それを見ながらしばらく標本群を堪能しました。

そして待つこと30分、まさかのYan Ho先生ご本人登場!!

W先生ならトランス状態の状況だと思うのですが、不勉強な私はこの時点ではご本人と気づかず。。。女性だと知らなかったのです(;^ω^)

この日は左心低形成症候群などの解剖について、40分ほどスライドを用いて抗議してくださいました。むむ。。。ちょっと発生学を復習しなおさないと私には厳しい。。。

これから少なくとも7月までは毎日同じ時間に少しずつ講義があるそうなので、絶対行こうと思います。ほとんどは小児科の先生のようでしたが。何をするのか不明ですが、なんとHands onのイベント(!)もあるそうなので、もう少しわかるようになったら行きたいと思います。

 

水曜日も同じく午前中は病棟に行きました。先週はBossのProf. Gatzoulisの回診だったので今週もてっきりそうなのかと思いきや、毎週病棟の責任者が変わるのか(?) Dr Kostasという面白い、顎髭が特徴的な先生の独壇場が始まりました(笑)とにかく笑いを交えながら板書してくれるし、丁寧に先天心を図解してくれるので、英語初心者の私にも患者さんの状態がよーく理解できました。先週より人数もかなり少なかったので、先生の目の前に陣取れたし!そして回診も、ユーモアたっぷりに患者さんと話している感じがとても印象的でした。うん、いい先生に違いない。。。

しかしカンファが始まるまでに時間があったので(何かが時間通りに始まったためしがない!笑)、イタリア人医学生のジュリアと話していて「日本で何年働いていたの?」と言われて「えーと医師としては10年」って言った瞬間、全然関係ないところにいたLeticiaとVictoliaが「えっ!!!」って思いっきり椅子引いてこっちに来たのがめっちゃ笑えました( ´艸`)  「Yeah... I'm much older than you. Actually I'm 35.」と言ったら、全然!20台で行けるよ!25歳くらいだと思ってた!日本人ミラクル!!今度から25歳って言いなよ!!とオオウケする一同。だから、前にイギリスに来た時に古い教会に観光に行ったら「学生?」と聞かれ、え?全然違うけどと思っているうちに、母まで学生料金で入れてもらった。。。という話をしたら爆笑でした。日本人はほんとに若く見られるようです。Leticiaが以前ブラジルで、上司の知り合いの日本人Dr家族に会ったことがあり、50~55歳くらいの先生かな~と思っていたら、なんと80歳だったというエピソードを披露しており、めちゃくちゃ笑いました。よし!今度から25歳って言ってみようv

ちなみにLeticiaが29歳で、Victoriaはもう少し若そうでした。Victoriaは彼氏も循環器医だそうです、unfortunatelyにもって(笑)

 

そして今日はカテ日です。カテも今日はDr Kostasが指導医でした。Fellowも順番に今週はカテ当番、病棟当番、とか決まっているようで、先週ProfとカテをしていたPabloは病棟に行き、代わりに中東系のお兄さんfellowがカテに入っていました。

f:id:bow-chan:20190426042556j:plain

こっそり撮った前室からの写真。もう少し慣れたら堂々と撮りたいと思います(;^_^A

カテ室は2室あるようで、この背後のもう一室ではDr Kimpnyというもう一人の私のBossになる先生が、Amplatzerをやっていました。

Dr KostasはPHよりの先生なので、今日はCOPDのⅢ群PH、ccTGA術後、先天性二尖弁術後の心不全のタテ3件でした。

Dr Kostasに日本から来たKanaです、とあいさつしたら「Tokyo?」と聞かれ、近くの田舎ですと言ったら「Kyorin?」と聞かれたので思わずえっ???キョーリンってなんだっけ。。。あ、杏林か!!急に日本語出てくると何言われたかわからなくなります(;^ω^) なんで杏林知ってるの?と聞いたら、佐藤徹先生(肺高血圧の有名な先生です)と何度もミーティングしたことがあるよ~とのことで納得。日本にも何度か来たことがあるそうで、日本はいいところだね~と言われました。ただ、日本の会議に行って驚いたのは「女性がひとりもいなかったこと!」だそうです。なので、今日君に会えてうれしいよ!GMC取ったらカテもやらせてあげるから頑張れ!と言われました。いやほんとにこれに関しては恥ずかしいの一言ですわ。。。日本。

この医師のジェンダー問題については、帰国後の課題のひとつにしたいです。切実に!

 

さて話はカテ室に戻りまして、日本のカテ室と大きく違うところ。。。

①帽子やマスクをしない!

これが初日にまず驚きました。気になる先生が自主的にするようですが、あくまでカテを握る術者のみです。しない先生もいます!なんか大丈夫なのかな。。。と思いますが、外回りのコメディカルもだーれもしません。これにはブラジル人のLeticiaも驚いていました。もちろんカテ室どころか、病院内で一度もマスクをしている人を見かけません。日本に来ると一番に驚くのがマスクと聞いたことがありますが、真実のようです。ちなみに首のプロテクターは見学者含め全員しています。なんか、他人は守らないけど自分の甲状腺は守るみたいな。。。言い方に悪意があるか(笑)

②助手はコメディカル!

たぶん看護師さん。。。だと思うのですが、助手はDrではないようです。ちなみに消毒も布かけも、最後の圧迫までこの人がしてくれます!なんかやりっぱなし感がすごくてやや違和感。。。東大に行っていたときに、カテ台の針モノやごみまで毎回ぜーんぶ片づけてあがっていたら「自治の先生はしつけがいい」と看護師さんに褒められたことがありましたが、そんな比ではない。。。恐るべし分業制。

③カテ台動かすのもコメディカル!

これもたぶん看護師さん。。。か放射線技師さんでしょう。ほぼ女性のことが多いですが、患者さんの足元側に移動装置があり、そこにひとり専属の人が立って画面を見ながらカテ台を動かしてくれています。たまによく見ていなくて「下を見せて~」とか術者が言っていますが。。。これは正直めんどくさそうだな。自分で動かしたい。

④麻酔がスプレー?

これは今日初めて気づいたんですが、本穿刺前に麻酔の穿刺がありません。そのかわりにコールドスプレーみたいなものをシューっとかけるだけです。あんな表面麻酔みたいなのだけで18G大丈夫なのかしら???と思うのですが、特に患者さんは痛いとか言っていないのでよいのでしょう。「あれは麻酔?」と聞きたかったのですが、「anesthesia」って単語が咄嗟に出てこなかったので次回に持ち越しです(;^_^A

 

先週はなんだか中に入りづらい感じだったので、今日は勇気を出してプロテクター着て術者の近くに行ってみました。そしたら以外にも、外回りのコメディカルが気さくに話しかけてきてくれ、日本が大好きだというお兄さんとひとしきりしゃべりました。好きな街は横浜と京都だそうです(*^-^*)「ありがとございます~もしもしあのね~」と日本語を披露してくれたコメディカルもいました。

Royal Bromptonでは日本人は非常にめずらしいようですが、「日本から来たよ」というとみんな「え~!すっごい遠いでしょ!大丈夫、体調平気?困ったことがあったら言いな」と優しくしてくれます。ちなみに「日本人?」と話しかけてくれた今日のお兄さんに「Why did you find me Japanese?」と聞いてみたら、「Your looking!」と言われました。そんなに日本人っぽいのか、わたしΣ(・ω・ノ)ノ!京都で中国人に間違えられて、英語で話しかけられたこともあるのに(笑)

 

まだ英語は聞き取れないし、自由に話せないし(私が長く話し始めると皆をお待たせしてしまい会話のリズムが崩れる。。。)、やや「無口なKana」になってしまっています(日本の皆さんは想像つかんでしょうが/笑)。周囲の皆は非英語圏の国出身でもペラペラしゃべれるのが当たり前のようだし、自分ひとりすごーいアホの子みたいだな~って思うたびに「ああっ、もっと英語勉強してから来なきゃいけないとこだった!」と毎日後悔&葛藤の日々です(´;ω;`) 色んな留学生とか留学中の先生とかのブログを見て、雑談についていけないのは私だけじゃない!大丈夫!とか言い聞かせたりして、何とか精神的ダメージを癒しています(笑)

でもとりあえずしゃべれなくても笑顔!挨拶!返事聞き取れないかもだけどなんか訊いてみる!を心がけてみているところ、最初はもう早口の英語しゃべってるだけで怖いな~と思っていた知らないスタッフや同部屋のfellowも「どこのfellow?ああ、Prof. Gatzoulisのところね。そっちの部屋だよ」とか「今日誰かclinical fellowを病棟で見かけた?」とか話してもらえるようになりました。今日も初めてケータイ電話のTop up(プリペイド式ケイ―タイに課金することです)をしに最寄りのスーパーに恐る恐る行ってみて、いきなりレジに並ぶ勇気が無くてお客さまセンターみたいなとこで雑談中の定員さんにそーっと聞いてみたら「どこのレジに並んでも大丈夫よ!何ポンド買いたいか言ってね!」みたいな感じに笑顔で答えてもらえました。レジのおじさんも見た目怖かったけど、親切にこのレシートが大事だからね、とか教えてくれましたし。

日本にいる時には性悪説支持者でしたが、イギリスにいる間は性善説を信じようと思います!(*´ω`*)

ときどきLeticiaとVictoriaの会話が速すぎてついていけず、疎外感もありますが。。。(彼女たちも聞き返せばわかりやすく教えてくれます。こいつババアのくせにどんくさいな~とか思ってるのかもしれないけど。。。無視です!)

f:id:bow-chan:20190426051832j:plain

左からイタリア人のGiulia(循環器医)、ブラジル人のLeticia(小児循環器医)、スペイン人のVictoria(循環器医)

今日は初めて病院のレストランに、一緒に連れて行ってもらいました。Leticiaの真似して頼んだチキンもチップスも、すべて味付けなしの斬新なメニューでしたが(;'∀')食堂レポートはまた後日したいと思います。

 

さてそろそろ英語の勉強に戻ります!とにかくGMC取得まで時間を費やすのみです!!

長文読んでくださってありがとうございました。お友達に飢えているので、FBでもLINEでもいつでも連絡くださーい!