ぼーちゃんの英国医学留学な日々

2019年4月~Royal Brompton Hospitalに臨床留学中の循環器内科医のブログです

症例プレゼン始めました☆(冷やし中華風に)

3週間ほど前から、毎週金曜日のMDT(multi disciplinary teamの略)という循環器合同カンファみたいなところで、症例提示を任されるようになりました!

わたし以外の他のfellowはすでに症例を割り振られていて、レチシアとかはめっちゃ余裕でプレゼンしていたりしたのですが、さすがにいきなりはハードル高い。。。と思って4~5月は免除してもらっていたのです。が!寂しいことに仲良しだったスペイン人のヴィクトリアが6月いっぱいで3カ月の研修を終えて母国に帰ってしまったため、その穴を埋めるために急遽動員されることになったのでした(-_-;)

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ヴィクトリアのお別れ会では、おしゃれな船上パブに行きました!

カンファには、循環器内科、心臓外科、エコースペシャリスト、MRIスペシャリスト、放射線科、スペシャリストナース、手術部。。。などなど様々な職種の人が集結し、だいたい30~40人くらいになります。時間は8時~9時半までと決まっていて、9時半になると症例が終わっていなくても解散します。残った症例は次週にまわされるか、最近は症例が多すぎてwaiting listがとんでもないことになっているため、臨時で火曜日にもMDTが開かれるようになりました。なので、下手すると週に4症例プレゼンすることになります。これがけっこう地味にキツい。。。(;^ω^)

 

プレゼンの準備ですが、2日ほど前に患者さんリストが送られてきて、自分の担当が2~3症例程度割り振られているので、カルテを見ながらPowerPointを作っていきます。最初にテンプレート的なものをヴィクトリアから引き継いでいたので、それに沿って作っていくわけですが。

これがまあ、最初はめっちゃ時間がかかりました!(@_@;)

なぜなら、必要な情報がどこにあるかわからない!!日本の電子カルテとは構造も内容も何もかも違うので、どこを見たら検査結果が書いてあるのか、そもそもMDTに出すことになった理由も不明なことが多かったので、作り始めた頃は1症例に3時間くらいかかってしまうことも(;'∀') でも最近はだいぶ慣れてきて、1症例1時間くらいで作れるようになってきましたよ!

まずこちらの外来カルテ上で、検査結果以外の患者さん情報は基本的に「Letter」というものに集約されています。これは外来のときに、Consultant(専門医のこと)が口頭でレコーダーに吹き込んだその日の所見だったり方針だったりを、医療秘書さんが紹介状のような形に起こしたもので、カルテに取り込むほか、GP(かかりつけの家庭医)に送ったり、驚いたことに患者さん本人にも毎回送られます!(これが患者教育の上で大きな役割を担っているものと推察しています。)

Letterはだいたい「今日、外来でMr〇〇の診察をできたことは大きな喜びです」みたいな決まり文句から始まります。日本で言う「平素より大変お世話になっております」みたいな感じですね。そのあとに、その日の患者さんの状態、主訴、運動している状況、続いてレントゲン、心電図、エコー、MRI、CPET(日本で言うCPXのことです)の所見などが書かれ、最後に方針になります。だいたいは「18カ月後にfollow upします」とか「ビソプロロールを増やしてください」だとかなんですが、MDTに出す場合には「~なのでMDTに出します」と書いてあることが多いです。しかし、これを読み取るのがなかなか難しいのです(;^_^A ときどき「え?これ出す意味あるの?」みたいなこともあります(笑)

Letterを読み終わると、診断や今の問題点などを2枚くらいのスライドにまとめ、その後検査結果をペタペタ貼り付けていきます。画像は別のソフトで見なきゃいけなかったり、なかなか面倒ですが、所見についてはプレゼン時にはそれぞれのスペシャリストが解説してくれるので、自分の勉強のためにさらっと目を通しておく程度です。

最後に簡単なSummaryとDiscussion pointを書き、10枚くらいのスライドになります。

 

スライドができたら、読み原稿の準備をします。

わたしはまだ自信がないので、がっつり読み原稿を作っていきます(笑)が、他のみんなはその場でスライドを見ながらアドリブでしゃべります。ぼーもいつかはできるようになりたい!とは思いますが、ただでさえよく知らんドクター30人以上もいるところで、自分が診察したこともない症例を提示するなんて、日本語でもきついわ~と思うので、皆さんの迷惑にならないように、発音しにくい単語は事前にカタカナで読みまで振って万全に準備しています(;^ω^)

 

そして、実はプレゼンでいちばん鬼門なのは、プレゼン後のDiscussionです。何しろこちらは自己主張が強い感じの人が多いので、たくさんの人がいっせいにしゃべり出します!同時にしゃべられると聞き取れない!!さらに、どの人が中心になっているのかわからないということもあります。うちの教授とか、カテの先生とか、外科の教授くらいは顔がわかるのですが、ときどき全然知らない偉そうな先生とかがしゃべり始めたりするので、「あれはだれ?何の立場からの発言なの?」みたいな感じに混乱します。

そして喧々諤々議論しまくってたけど、結局結論出ず。。。なことも多い(笑)

しかしたとえ結論が出なくても、MDTの内容をその後Letterに起こし、担当のConsultantに送らねばならないというもっともきついお仕事が最後に控えているのです。。。なので毎回プレゼンが終わった後は必死です!!(笑)

 

ちなみに先週の金曜日はまさかの「移植合同カンファ」だったため、いつもよりオーディエンスは多いわ、症例は難しいわ(わたしの症例はなんと心肺同時移植症例でした。。。見たことないって!!)、議論のオチはわからないわ、担当医は知らない先生だわで、めちゃくちゃ大変でした(+_+)!!

でも前日に4時間もかけて準備をしていき、何とかわかりやすく短時間でできるようにとスライドの記載を工夫したりしていたので、カンファ後に結論を聞くため、初めて見る担当医の先生に突撃をかけたところ、「いいプレゼンだったよ!」とまずお褒めの言葉をいただけました!!そして詳しく今後の予定を話してくれたので必死にメモを取り、忘れないうちにすぐにLetterを書いて送りました。その後、廊下ですれ違った顔見知りのベテランナースさんからもWell done!とめっちゃ誉めてもらえたので、すっごく嬉しかったです!!(*´ω`*) みんな、読み原稿を一生懸命読んでるわたしをハラハラしながら見てくれているのでしょう(笑)

 

ちなみにこの自作のLetter、毎回違う先生に送ることになるので、メールに必ず「英語に慣れてないのでしっかり直してください。できれば直したものを送ってください。今後の勉強になるので!」みたいに書くようにしていました。すると、何人かの優しい先生は「良く書けてるよ。少しだけ直したからチェックしてみてね」みたいに、ぼーのpoorな文章を直してくれるので、とても勉強になります。特に、他のFellowには何の返事も寄越さないKempny先生が、わたしのLetterだけめっちゃしっかり直してくれたりしたので、レチシアたちが贔屓だと怒ってます(笑)

 

こんな感じでまだまだピヨピヨしている状況ですが、わかりにくいLetterを読んだり書いたりを、週2回も必死にやっていれば、きっと英語も上達するはず!と信じて今は頑張っています(笑)

まだミーティングの最中に何を話しているのか話題を見失ったりすることもありますが。。。1対1ならおしゃべりできるようになったもん!と自分を励ましながら、今日も今日とて勉強してから寝ます!